離婚での学資保険の取り扱いについて

離婚に際し、学資保険は当然に子どもを引き取る側(多くの場合親権者になる側)がそのまま取得すると思っている方が意外に多いです。
ところが、実際の裁判における大原則は、ドライに半分こ、です。 

学資保険は、毎月1万円ずつなど、一定額ずつ掛けているのが通常ですが、解約するときに一定額が解約返戻金(かいやくへんれいきん)として戻ってきます。   c009b2a4c2b0dd9531811de9e7052cea_s.jpgのサムネール画像
 
分かりやすくいいますと、この解約返戻金と預貯金は同じ性格のもので、いずれも、財産分与の対象となり、夫婦で折半するのです。
 

ケーススタディ

例えば、母親を親権者として離婚する場合を考えてみましょう。
弁護士が間に入らずに、ご夫婦だけで話し合って離婚するとき、母親は、学資保険が満期になれば当然父親から学資保険を受け取れるものと信じて、契約者の名義変更をしない場合もあります。
ところが、契約者が父親のままでは、父親がいつでも解約でき、また、満期金も父親が指定した口座に振り込まれます。母親は、名義変更などの手続を行えないばかりか、保険会社に問い合わせをしても、何も答えてもらえず、いつ解約したのか、父親がいくらを手にしたのか、分からないままです。
 

注意点

ただ、①原則折半であること、②契約名義人しか変更手続ができず、解約返戻金や満期金も受け取れないこと、を頭に入れておきさえすれば、離婚の際に
 ア 名義人を母親に変更し、子どものために母親が保険を継続する
  (その場合、離婚時あるいは別居時の解約返戻金額の分け方について協議する)
 イ 解約し解約返戻金の分け方について協議する
のいずれにするか、忘れることなく、夫婦間で話し合いをすることができます。
 
離婚協議や離婚調停の場では、案外、折半を求められることは少なく、父親も、学資保険は子供のためのものだから、ということで、全額を母親に譲ることも少なくありません。また、父親が頑なに折半を求める場合でも、調停はあくまで話し合いですから、母親が合意しない限り離婚は成立せず、調停委員を交えて、学資保険の取り扱いについて話し合いを続けることができます。